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2012年03月

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 カセットプラント ファクトリー通信 vol.0023  2012/3/7 発行


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 カセットプラント ファクトリー通信 vol.0023  2012/3/7 発行  
 
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●目次
【1】特別連載 対話:海野和男(昆虫写真家)x山口啓介(美術家) 第五回(最終回)
  ・写真と絵画の関係、差異について
【2】展覧会情報
◆カセットプラント ファクトリー こどもの方舟―いのちをかんがえる Part2
2012年4月1日(日)~4月22日(日) いわき市立美術館
【3】感想・ご意見募集
【4】ホームぺージのご案内

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みなさま、こんにちは。
先月末に開催された「世界希少・難治性疾患の日」は、朝からの大雪にも
かかわらず、たくさんの方にご来場いただくことができました。
カセットプラントWSでは、来場者のかたと一緒にドライフラワーや、生花を
カセットに入れ、色鮮やかな花の衝立を完成させました。
 また1月に開催された、いわき市立美術館でのカセットプラントWSでは、
参加者の方にたくさんの感想をいただくなど反響があり、4月からはじまる
美術館の取り組みで、再びカセットプラントのワークショップを実施します。
 そして去年よりはじめた特別連載、海野さんと山口の対話は今回が
最終回となりました。どうぞおたのしみください。

いわきWS報告 http://genkikitori.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-f74a.html 
RDD2012報告 http://genkikitori.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/a3_r-dde0.html 

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【1】特別連載 《0の宇宙/アナザーワールド 対話:海野和男 x 山口啓介》 第五回

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*1~4回まではこちらからご覧いただけます→
http://cpfactory.blog56.fc2.com/blog-date-20110914.html (第一回) 
http://cpfactory.blog56.fc2.com/blog-date-20111111.html (第二回)
http://cpfactory.blog56.fc2.com/blog-date-20111130.html (第三回)
http://cpfactory.blog56.fc2.com/blog-date-20120119.html (第四回)

《0の宇宙/アナザーワールド 対話:海野和夫x山口啓介》第五回

■写真と絵画の関係、差異について

山口:僕も以前に植物を大きなレンズでとって写真をつくり、キャンバスを上と
下に分けて、下半分にその写真をインクジェットでキャンバスに刷って、その上
に樹脂や顔料を重ねて描いていくという方法で絵画の連作を制作したことがあ
ります。そうするとかなり抽象的な表現になるのですけれど、やはり映像のちょ
っと引いたような客観性というか、そこに自分の手で描いた絵画の層やパーツ
が重なってくるというギャップがおもしろいのですけれど。日本古来の伝統から、
事情は西洋と違うと思いますが、例えば西洋人だとキリスト教があって、キリスト
教というのはやはり神の似姿をつくるためにものすごく具象的な表現が発達して、
彫刻でも、油絵でも細密に、現実にあるように映像的に描く技術が発達していま
した。その後、フランスで写真術が発明されて、多くの画家がショックを受け、映
像的技術の方向でやってもしょうがないなということで、今の絵画表現に至った、
そういう近代西洋絵画史がありますよね。今でも写真は、たとえば証拠写真なん
かでも、現実の客観的なコピーいう意味から、信憑性がありますよね。絵で同じ
ように描くのと、撮るのでは、絵のほうが素晴らしくても、やはり写真のほうが事
実に近いという人間の根強い心理があると思います。

海野:まあ写真は写・真と書くからね。でも写真って別に真実じゃないからね。

山口:ところが、最近のデジタル技術が発達してくると、いくらでも加工できるよ
うになりましたよね。

海野:いや、それはデジタル以前のことで、例えば大仏の手の上に乗ったりとか、
それがおもしろい写真観光地に行くと子供のころにもあった。写真はべつにこれ
は真実を写すものじゃない。

山口:ただ一般的には、写真の、写す真実という信頼性のようなものは、証明
写真の例を持ち出すまでもなく、なんとなくまだ僕らにはまだ残っていると思うの
ですね。

海野:ただ、写真で写された一つ一つのもの。例えば、ここに風景があって、誰
か人がいるってなると、例えば証拠写真で合成してやったらね、それはそこにひ
とつそういうものができるわけです。その写っている一つ一つのディテールという
のは、実はコピーですから真実なんですよ。

山口:それは被写体があると言う意味ですね。

海野:はい。ちゃんと被写体があるということで、真実なのです。そこに写真がだ
ますようになにか持ってきてやるようなのは、パロディならおもしろいですけども、
それを本当に証拠写真だとやられると困るのですけれどね。昔に写真が日本に
到達した頃、江戸末期とか、その頃の風景や風俗を撮った写真を見ると結構お
もしろいですよ。人の写真とか肖像を見るよりはずっとリアルなんですよ。写真と
いうのは物を定着させる力というのが、僕はすごくあるんだと思いますね。とくに
人間の肖像を撮った場合でも、みんな着てくるものも違うしね、おもしろいよ。
虫なんかは100年やそこらじゃ変わらないものね、人間っていうのはすごく変わり
やすい。ほんとうは何も変わってないのだけどね。

山口:裸で撮ればそういうことですね。

海野:そう、そう。まあ、体形が変わってきたけどね。そういうところにはヌード写
真の意味はあるのかなと思ったりしますけどね。

山口:映像表現を、ちょっと斜めから見ていますが、かつて写真がもってた、もち
ろん創作といえば創作ですけど、その真実性というものが、今はバーチャルによ
ってずいぶん危うくなり、曖昧になってきている。それで、最終的に「これ本当?」
っていうようなそういうところまでいってしまう

海野:曖昧になっているよね。写真の審査とかやっていると、合成したっていい
じゃないという考え方もあるし、合成したらだめという考え方もあるし、それぞれ
そのときの審査基準に書かれているわけですよね。そこに合成だめと書いてあ
るところにさ、「これ合成じゃない?」って疑わざるを得ない写真が送られてくる
場合もある(笑)。もう、悲しいよね。そういう目で見ちゃうという悲しさがある。
でもそういう目でみないと、実際にはそういうものが紛れ込んでいるわけで。
見たってわかんないというのもある。それで、どうせなら合成もよくしてしまおうと
いうふうにもなるわけです。ただ、ここに展示されている擬態の花カマキリの写
真だって、そこの蘭に花カマキリがいたわけじゃなくて、僕がそこに置いて写した
わけですから。

山口:人為的な行為も加わっているのですね。

海野:人為的なわけであってね、でもそこには同時にこの花とこの花カマキリが
いなくちゃいけないわけですね。これは外国まで行って撮影したわけですが、い
まは、その花カマキリを売っているしね、花カマキリをペットショップで買ってきて
ね、蘭と別々に撮ってね、あるいは売ってなくても、花を別に撮って乗っけること
はできるよね。僕は現実にそういう本をデザイナーに合成してもらって「探そう隠
れ虫」という本をつくったことがあるんですよ。一枚の見開きのところにいろんな
擬態昆虫を配して、子供に探してもらうわけ。それはそれで面白いわけ、それは
そのようにしてありますよということなんで。証拠写真でない合成写真というのは、
絵の代わりの写真ということですね。だから一個一個のディテールを撮ったりア
ップで撮ったりしたもののほうがぼくは真実性がるので、肖像写真とか人間を写
したもでも、そういうもの好きですね。最近、写真はそういうのがいいような気が
してきて。物を直接撮っている写真。

山口:その辺で、ちょっと思うのですけどね。じゃあ、写真って何なのというところ
を。かつて、絵画って何だろうって問われたように、いま写真ってなんだろうって
いう感じがあるのじゃないかな。

海野:それはでも、写真家のなかにそういう意識があるかどうかは、どうなんだ
ろうね。

山口:僕なんか美術で接しているかぎりは、たとえば具象絵画の時代があって、
少なくともレンブラントやフェルメールのような技術はなくなって、いまやっても偽
物っぽくなる、ということでやらなくなる。ところが古典絵画を参照した構図や、セ
ットをわざわざこしらえて肖像写真を撮る、あるいはフェルメールのように光をセ
ッティングして撮る。そうすると本当に古典絵画のようだ、でも現在の写真だ、と
いう絵画との微妙な差異や関係を、良くも悪しくも楽しむ傾向も起こっていますよ
ね。ところがいまそれをもう通り越して、たとえば被写体なしで、いろいろな光学
的な効果によって、写真を撮ると抽象的な写真が撮れますよね。そうするとやは
りそれも抽象絵画を模倣している。具象絵画も模倣し、抽象絵画も模倣している、
絵画になろうとする写真の欲望がある。

海野:そうなんです。今ね、写真がそういうふうなところがありますね。

山口:そうすると、それはそれであるのですけど、逆に本当の写真って何だろう
と、いうのがやはりでてくるような気もするのです。

海野:そうなんですね。だからそうなると写真が、インスタントに絵ができるから、
絵を描くより写真のほうが簡単だから。ただ、作品なんかをやってる写真を見る
と、いいなと思うものがあるわけよ。それはその人が絵を描くとなると、細密画を
描くとなるとすごい大変なことになるのですよ。しかもそれには、絵はね、一般的
には器用さとか、自分が不器用だったから思うのですけど、そういうことも含めて、
絵を描く天性のものが結局、重要だと僕は思うのです。感性も天性が重要。その
両方をもっているのが絵描きだと思う。それがレンブラントだったりするわけだと
思うのですけど。写真家はですね、そんなものをもってなくても、感性だけをもっ
てる人が意外とそういうものをやると、一番大変な部分がパスできるんで、間口
が広くなる。人に芸術を広める、まあ写真がそういうふうに使われた場合、広め
る役目をしているのかなあと思いますね。実際にそういうことはやってみると、結
構、おもしろかったりするわけで、僕自身はなんとなく全部不器用なので、ともか
くディテール撮るとかそういうのにこだわりますけどね。でも、ほんとはやってみた
いです。パソコンなんかで偶然どっかボタンを押したら絵みたいになっちゃったこ
とがあって、あ、これもいいなと思ったり。怒られるのですけどね、そんなこというと。

山口:日本の中の一部にも、画家が写真を見て絵を描くというのは、古くはスー
パーリアリズムなど持ち出すまでもなく、外国でも結構あります。

海野:それはもうかなり大昔からで、たとえば生き物の動きなんかは写真じゃな
いと見えない世界です。栗林慧さんという人は、2万分の1くらいの速度で虫が飛
んでいる姿を撮っています。今は機材が進歩して誰でも撮れるようになっていま
すが。そういうものっていうのは、実際に飛んでいる姿を絵描きがみることはで
きないから、それを模写する、それで問題になったりとかしたこともある。ただい
まね、デジカメがすごくよくなって、実は飛んでいる一瞬が写ったりするのですよ。
そういうカメラもある。後、秒撮りで撮ってもいいわけで、そうするとそれを模写す
れば本当の動きがわかるわけよね。動いているのを撮ろうとするときに、むかし
競馬場で馬をとって馬の歩くのがわかったというのがありましたよね。写真を撮
ってはじめてわかるという。そういうのは、絵のほうにね、別にどんどん取り入れ
てもらってかまわないと思う。写真を模写して、ただ、写真家のほうだとそれをや
られると困るのよ、写真の権利の問題としてそういうのはいかんよ、といっている
わけですが、それはたとえば、写真家と一緒にやればいい話で、あるいは著作
権料を払ってやればいい。本当は、一緒にやればコラボとしては面白いですよね。

山口:走る馬の写真、実際は写真で撮ってみて、それ以前に絵で描かれている
走る馬の脚が、実は誤って逆だったということがわかったというやつですね。とこ
ろで、僕なんか学生時代の頃、実際のモチーフを見て描く素描、デッサンとかい
うのをやっていたわけですが、立体のものを見て、それを正確に平面におこすの
は、かなり難しいし、力がいる。ところが平面から平面におこすのは意外と簡単
で、つまりそこに人やモチーフがあって、直接見ながら描くのは難しいのですけ
ど、それを写真に撮って、その写真を見ながら描くのは意外と簡単なのです。
場合によっては、そこに線でも入れて、トレースみたいにして。たとえば昔のデュ
ーラーのような人でも、平面に立体を写すために似たようなことをやっています。
ここに一個のフレームを作って、そのフレームに糸か何かで線をつくって、向こう
を見ると線とモデルの交点がわかる、そしてあらかじめキャンバスには同じ数の
線を引いておいてそれを結んでいくと、比較的に正確で簡単に描いていくことが
できると、合理的な知恵であり、素描力の簡略化という意味からは、一種のズル
でもあるかもしれないのですが。写真のない時代は、そういう頭を使ったやり方
をしていた時代があったのですね。いまはそれが写真できてしまう。

海野:写真で、それをコンピュータに取り入れてそこに線引いてやればそれで
簡単にできますよね。

山口:ただし、簡単にできるというのは必ずしもいいことではなくて、できたもの
がおもしろいかっていうと、そうじゃなかったりもする。何か力が欠如している場
合も起こる。

海野:たぶん、そういうのがソフトウェアであるところまではいくのです。あるとこ
ろまではいいのだけど、それ以上は、なかなかうまれないので、それから上は、
力があるからできるのじゃない?今は誰でもできるようになったから、たとえば、
それほど力がなくても別に写真家にもなれるし、絵描きにもなれるわけよ、ある
意味。僕なんか逆に自分でそういう感性があると思ってていませんから、ただ、
好きこそものの上手なれでやっていけばできるわけですよ。僕も何十年間やっ
ているわけですよね、昔はすきこそ物の上手なれでそれでようやくできてきた。
今は、カメラの進歩と情報の進歩ですね。こういうふうにすればこうなりますよ
という情報が伝わると、そのようにすればできるわけ。ただ、写真を撮る場合は、
その現場に行かなくちゃならない宿命で、これが一番です。写真家がやるべき
ことは現場に行くこと。現場に行かないではできないわけですね。それがどこま
で続けられるかが、おもしろい写真を撮れるかということだと思いますね。

山口:現場にいくということ。なるほど、何か少し、写真というものが自分にも見え
てきたような気がします。そして、絵画にもまた違った意味かも知れませんが、
かなり近いものがあるなと感じました。本日は、ありがとうございました。


                                        おわり


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【2】展覧会情報
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◆カセットプラント ファクトリー こどもの方舟―いのちをかんがえる Part2

■オープンワークショップ
 日時:2012年4月1日(日)~4月22日(日) 11:00~16:00
 会場:いわき市立美術館 2階ロビー
 随時参加、参加無料

■レクチャー&ワークショップ
 日時:2012年4月22日(日)11:00~12:00
 会場:いわき市立美術館 セミナー室、2階ロビー
 参加方法:事前申込制(はがき、FAX、オープンアークショップ会場での申し込み)
 参加無料

美術館HP:http://www.city.iwaki.fukushima.jp/kyoiku/museum/002482.html


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【そのほかのご案内】

●Webギャラリー
【信州大学人文学部HP】
http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/arts/
【人文ギャラリー】
http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/arts/gallery/

●ラジオデイズ
「ラジオの街で逢いましょう」 
第220回 出演:山口啓介「カナリヤ」の役割 
ゲスト:山口啓介/ホスト:平川克美/アシスタント:浜菜みやこ
http://www.radiodays.jp/radio_program/show/301 
「ラジオの街で逢いましょうプラスワン」
http://www.radiodays.jp/item/show/200764

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【3】感想・ご意見募集!
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ファクトリー通信を読んだ感想・ご意見を編集部に送ってください。
次回の通信の参考にさせていただきたいと思います。

感想・ご意見メールはコチラまで⇒ info@cp-factory.sakura.ne.jp 

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【4】ホームページのご案内
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カセットプラント ファクトリーHP: http://cp-factory.sakura.ne.jp/
CPF お知らせブログ: http://cpfactory.blog56.fc2.com/ 
スタッフブログ: http://genkikitori.cocolog-nifty.com/blog/ 
スタッフtwitter: @sakkocpf
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編集   カセットプラント ファクトリー通信編集部 
発行   カセットプラント ファクトリー事務局
お問合せ info@cp-factory.sakura.ne.jp

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